間宮さんのニセ花嫁【完】
「飛鳥のいいところは笑っているだけで周りを明るくしてくれるところだと思う」
「え?」
「会社でも家でも、ムードメーカーだし上司としてはいつも救われている部分がある」
突然の褒め言葉に私は真っ赤なチェリーを器の中に落とした。何かの冗談かと思えば間宮さんは真剣な表情で私に向けて語り掛けている。
「だからそんな飛鳥の笑顔を失わせているとしたらそれは俺の責任だと思ってる」
「そ、んなことないです……」
「……本当はあの後も飛鳥の為にも辞めた方がいいんじゃないかと何度も考えた。だけど直向きに努力する飛鳥を見ていると何も言えなくてな」
それはなんとなく分かっていた。間宮さんの視線はいつも心配そうで、私が無理をしていれば直ぐに「もう辞めようか」と提案してくれそうな空気だったから。
それを感じていたから私は敢えて無理しているようには見せない為にずっと笑って誤魔化していたけれど。
「でも俺はきっと、飛鳥はそういうところを見て偽装結婚を申し込んだんだと思う」
「……」
「だから、ここまで来たなら最後まで飛鳥に頑張ってもらいたい。本当、他力本願な男で悪い」
「っ、それは違います!」
だってこうするしか手はなかった。間宮さんが家を継ぐ為にはこうするしか方法が見つからなくて。
間宮さんだってもし上手くいかなかったら他の方法を探すと言っていたけど、それを理解して話を受けたのは私だから大変なのは当たり前だ。