間宮さんのニセ花嫁【完】
「え、これって……」
「今日の着物には合わないかもしれないけど、良かったから使ってくれないか?」
つまみ細工で作られた赤い花が頭に咲く。それだけで顔周りが一気に華やかになるような気がした。
本番は間宮さんは隣にいてくれないけど、何故だか後ろから見守ってるよと言われているみたいだ。
「ありがとうございます。私、頑張ってきますね!」
「あぁ、いつも通りの飛鳥なら大丈夫だ」
間宮さんの声を背負い、部屋を出ると玄関へと向かう。すると玄関では既に梅子さんが私のことを待っていてくれた。
「準備は出来ましたか?」
「はい!」
返事だけはいいですね、と皮肉地味な彼女の言葉ももう聴き慣れた。嫌味なく笑っていると梅子さんが茶室に向かって歩き出したのでその後に続いた。
視線を感じて最後に後ろを振り返ってみたがそこに間宮さんの姿はなかった。