間宮さんのニセ花嫁【完】



今日は稽古がない日だったので一日のんびり過ごそうと散歩しながら家に帰っていると、たまたま道の途中で鯛焼き屋の紙袋を手にした百瀬さんと鉢合わせした。遠くから見ても目立つ彼の芸能人オーラが目に痛い。


「あれ、どこ行ってたの?」

「紗枝さんのところに」

「紗枝ちゃんと知り合いなんだ? 懐かしいなぁ、俺も会いに行こうかな」


食べる?と鯛焼きを差し出される。ここらではテレビでも紹介されるほど有名な鯛焼き屋のものだ。
ありがたく受け取ると背の高い彼を爪先から頭のてっぺんまで凝視する。


「百瀬さんって」

「くんでいーよ、あとタメ口でもいいし」

「……百瀬くんって何歳?」

「俺は26ー、来年の3月で27だけど」

「え、じゃあ同じ歳だ!」

「マジ?」


彼は鯛焼きを持っていない方の手で私の腕を掴むと「尚更タメでいいじゃん!」と激しく上下に振った。
どうしよう、人気アイドルとタダで握手をしてしまった。弥生に言ったら絶対に羨ましがられる。


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