間宮さんのニセ花嫁【完】



「(生粋のお嬢様か……)」


間宮さんが私みたいな平凡な人と結婚するなんて、実際は奇跡みたいな話なんだろうな。
資料室に置いてあるパソコンで過去の営業データを調べながら、頭の中では百瀬くんの言葉がずっと反復されていた。

間宮さんと一緒にいたあの人は、彼の元恋人で、高校の時の元担任。百瀬くんはそれ以上のことは知らないから何も言えないと口にしていたけれど、いつか見た彼の高校の卒業アルバムに乗っていた人と確かに同一人物だった。
私があの人と一緒に映っている写真について言及しようとしたとき、即刻にアルバムを閉じた彼。


『もう人を傷付けたくない』


海で私が今まで恋人を作らなかったのかを訪ねたときに言ったあの言葉も、あの女の人を想って出た台詞だったんだろうか。
タイピングをしていた指を止め、ズキズキに痛む胸に手を当てた。

どうして今、あの二人が会っているんだろう。


「え、」


突然資料室の電気が消え、当たりが暗闇に包まれた。私が焦って声を上げればそれを聞いた人が慌てて電気を付け直す。


「悪い、人がいるとは気付かなかった」


そう言って顔を見せた間宮さんに思わず背筋が伸びた。


「大丈夫だったか?」

「は、はい。驚きましたけど」


彼は私の手元を覗き込みと「まだ休憩時間だろう、仕事か?」と心配そうに尋ねてくる。

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