間宮さんのニセ花嫁【完】
その境遇が私に似ていて嫌でも感情移入させられ、百瀬くんが演じる男性と結ばれた瞬間に涙腺が崩壊してしまった。
漸く涙が止まると「お世話掛けました」と映画館を出た。
「いかがでした? 楽しめました?」
「家族のラブシーンを見るのは不思議な感覚だったな」
「そこですか!」
恥ずかしかったと語る彼と今度は近くのショッピングモールへと移り、ホワイトデーのお返しを探すことに。
間宮さんは「何でも好きなものを言ってくれ」と伝えてくれたがお店が多すぎて何から見たらいいか分からない。
「アクセサリーとかどうだ? ネックレスとかブレスレットとか」
「いえ、また値札隠されたら困るので」
「もうあんなことはしないよ」
結婚指輪を買いに行ったことを思い出して笑う。今思い返せば全てが笑い事になるような気がした。
あの指輪を付けられた瞬間に私はこの人のことをもっと知りたいと思ったんだった。
「アクセサリーが駄目だと時計とかは? 腕時計持ってるか?」
「持ってはいるんですけど……」
そう言いながらモールの中を歩いていると視界に入ったガラスケースに吸い寄せられるように近付いた。ケースの中に入っていたのは可愛らしい白い毛をした子猫だった。
「か、可愛い!」
「ペットショップなんかもあるのか、ここ」