間宮さんのニセ花嫁【完】
───────────────────
────────────
新幹線に揺られること一時間、半年ぶりの実家は普段よりも懐かしく思えた。
突然帰ってきた私に母も父も驚いていたけれど、何かを察してなのか理由は深く聞いてこなかった。
自分の部屋の埃っぽいベッドに寝転がりながら私は漸くはぁと身体の力を抜く。
「(何やってんだろう、私)」
明日も仕事だというのに、いや、明日は有給使ったけど。
だけど桜さんや梅子さんにも別れを告げず間宮家を出ていってしまうとは。
「でも、いつかはこうなる予定だったんだよなぁ……」
私と間宮さんの契約もあと一週間の話。だからこのタイミングで家を出るのは間違いじゃない。
きっと今では間宮家は大騒ぎになっているだろう。
「(間宮さんと楓さんは、今頃……)」
一瞬野暮なことを考えて「いやいやいや」と邪念を振り払う。私がそう仕組んだことじゃないか、今頃何を考えているというのだ。
これで正しい。間宮さんがずっと好きだった楓さんと幸せになってくれるならそれでいい。
私がそれを望んだのだから。
「飛鳥ー、夕御飯出来たけど食べるー?」
「食べる!」
母の呼ぶ声に反応すると私はベッドから起き上がってリビングへ食事に向かう。これまた久々の家族三人揃っての夕食は今まで以上の安心感があった。私に何かあっても、こうして帰る場所があるということが嬉しかった。
ゆっくりでいい。また自分の中で整理がついたら二人にもちゃんと話したい。きっと驚かせてしまうだろうけど、きっとこのままにしていい話じゃないよね。