間宮さんのニセ花嫁【完】



それから1ヶ月半が過ぎ、桜が舞う季節に移った。
四月となり、新たな装いになった営業部に今までいた彼の姿は無かった。


「はぁ、本当に間宮さん辞めちゃったんだね」

「何言ってるんですか松村さん、二月にお見送り会したじゃないですか」

「分かってるよ! でも今更にそれを実感したというか!」


弥生の言う通り間宮さんがいないというだけで社員の活気がないように思えるのは気のせいだろうか。特に女性社員の元気がないように思える。
それに彼が丁寧な仕事の引き継ぎを行ったとしても、やはり彼のいない営業部はまだ不安定な部分がある。

いない間宮さんの分まで頑張って成績を上げないと私たちに仕事を託してくれた彼に失礼だ。


「でもほら! 結城くんも入ってくれたし! ねぇ!」

「はい! まだまだ力不足ですが頑張らせていただきます!」


四月となり久々に営業部に入ってきた新入社員の結城くん。爽やかな見た目と裏腹に熱血で、どんな仕事にも真摯に向き合ってこなしてくれる。
今まで部でも後輩ポジションだった柳下くんは結城くんが入ってきてくれたことで少し嬉しそうに見えた。


「ところでさっきから言ってる間宮さんってどんな人なんですか?」


そんな結城くんの疑問に私たち三人は顔を合わせる。
どういう人かと言われても、仕事が出来てイケメンで、部下からも慕われていて会社では結婚したい男No. 1とまで言われた人だ。今こうして考えると間宮さんって本当に完璧超人だったんだな。

だけどそんな彼にも実は意外な一面があったりする。


「って、あれ……」


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