間宮さんのニセ花嫁【完】
弥生が震える手で指差した方向に視線をやる。すると意気揚々と部へ入ってきた人物をいてその場にいた誰もが声を上げた。
「ま、間宮さん!?」
「久しぶり」
土産袋を片手に入ってきた間宮さんは一気に社員たちに囲まれていた。
「どうしたんですか!? もしかして復帰とか」
「いや、元気にしてるかなって様子を見にきた。これシュークリーム、好きなやつ選んでくれ」
「わぁ! ありがとうございます!」
彼がいるだけであんなに沈んでいた営業部に一気に活気が戻り、彼の人望の厚さが伝わってくる。
隣を見れば弥生が何故か間宮さんに向けて両手を合わせて拝んでいる。
「いやぁ、久々の間宮さん。目の保養だわ」
「この人彼氏と別れて頭おかしくなっちゃったんですかね」
「……」
定時は過ぎたが残業の人が多いのか、殆どの社員が会社に残っていたこともあって突然の間宮さんの登場の噂は他の部署まで伝わってしまったらしい。どんどん増えるギャラリーに戸惑っていると間宮さんがシュークリームの箱を持って私たちに近付いてきた。
「ほら、佐々本たちも。カスタード、チョコ、イチゴがあるから好きなのを取ってくれ」
「ほえー、この人が間宮さんですか。シュークリーム頂きます」
初めて間宮さんを見る結城くんは彼の人気ぶりに呆気に取られていたのか、ぽかんと開いていた口を必死に動かした。