間宮さんのニセ花嫁【完】



居酒屋の駐車場は閑散としており、二次会に行く人は次の会場へ、帰る人はタクシーや電車に乗るために駅に向かっているようだ。


「本当にいいんですか、間宮さん」


泥酔して自分で歩くことすらままならない私を抱えるように立っている間宮さんに弥生が心配そうな表情を向ける。


「大丈夫だよ、俺ももう帰る予定だから。二人ももう遅いし帰りな」

「すみません、その子嫌なことがあるといつもああいう飲み方になっちゃって」

「色々あったんだろう、仕方がないよ」


間宮さんの言葉を耳元で聴きながら、「申し訳ないな」と思いつつも思考が回らず何も考えることができない。
暫くして柳下くんが「タクシー呼びましたよ」と駐車場に戻ってくる。


「って、佐々本さん本格的にヤバくなってないですか?」

「うーん、でも間宮さんが一緒だから安心だと思うけど」


柳下くんが呼んでくれたタクシーに乗るこむと「じゃあ二人も気をつけて」と告げ、タクシーのドアが閉まる。
私の家に来たことがある弥生が教えた家の住所を運転手に伝えると、タクシーは私の住んでいるマンションに向かって走り出した。

走り始めて暫くすると少しだけ意識がハッキリしてきて「ん〜」と籠もった声が口から漏れる。


「佐々本、大丈夫か。そろそろ家着くからな」

「……はい」


頭を起こそうとするが力が入らず、コテンと彼の肩に凭れ掛かってしまう。しかし間宮さんはそれを嫌がることなく受け入れ、肩を貸してくれていた。


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