間宮さんのニセ花嫁【完】
「助手席乗れる? 袖気を付けてな」
「は、はい!」
間宮さんに支えられながら車の助手席に乗り込むと運転席に乗った間宮さんがハンドブレーキを下ろしてアクセルを踏んだ。
「茶道の稽古どうだった? 難しかったか?」
「覚えることが色々とありすぎて。もし上手く出来た時は是非飲んでみてください」
「勿論。悪いな、俺も今日は稽古に付き合う予定だったんだが久しぶりに実家に帰るとやることが山積みでな」
住宅街を抜けると一般道を走り始める車は一定の速度を保っている。
「深く考えず、軽い気持ちで受けてくれたらいいから。茶道の体験教室だと思って。ばあちゃんはよく教室を開いてるから教えるのは上手なはずだ」
「教室って茶道のですか?」
「あぁ、結構人気で予約も埋まってるらしい。タダで受けられてるのはある意味得かもな」
茶道ってそう簡単に教えてもらえるものじゃないんだ。私も今回のことがなかったら一生関わらない可能性だってあったわけだし。
この半年間、何かと間宮家にはお世話になるだろう。梅子さんにしごかれ、桜さんには料理を教えてもらって。この偽装結婚の契約が終わったら私、めちゃくちゃいい女になってるんじゃないだろうか。
もう二度と浮気をするような男性なんかと付き合わないように、この半年間は自分磨きに精を出そうと心に誓う。