間宮さんのニセ花嫁【完】



「飛鳥に変なこと吹き込もうとしても無駄だよ」


そう言って部屋に入ってきたのは誰でもない、間宮さん張本人だった。三人とも突然の間宮さんの登場に開いた口が塞がらなくなる。


「え、千景? お前どうした」

「家戻ったら飛鳥が紗枝のところに届け物しにいったって聞いたから迎えにきたんだよ」

「っ……そういえば今何時!?」


そろそろ梅子さんの用事も終わっているかもしれない。私の隣に座った彼に「すみません」とお詫びを入れる。


「大丈夫、俺が心配で勝手にしたことだから。というか俺が帰ってくるまで待っててくれたら一緒に行ったのに」

「っ……」


恋人仕様だからか、私に向ける間宮さんの笑みがとびきり甘い。それを見て正志さんが横から「見せつけるねぇ」と御萩を口に含みながら羨ましそうに呟いた。
それに対し紗枝さんはそんな間宮さんに「今忙しいの?」と問い掛ける。


「俺より飛鳥の方が。今度ばあちゃんのお茶会に参加することになったから稽古大変だんだよ」

「そうなの……着物はもう決まったの?」

「いや、当日母さんが決めるんじゃないか?」

「だったらウチの好きなの選んで持っていってもいいわよ」


紗枝さんの太っ腹な発言に私は目を丸くする。前回も着物をお勧めしてもらったのに今回まで?
しかし間宮さんは「それもそうだな」と彼女の言葉に賛同する。これだからお坊ちゃんは!


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