新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「結愛、……結愛!」
母に呼びかけられて、ハッとする。
ぼんやりしていたらしく、慌てて取り繕う。
「な、なに? お母さん」
目を泳がせる私に、母はあっけらかんと笑う。
「中村先生が心配なさってたわよ」
『中村先生』と言われ、手に持っていた布巾を思わず握る。
かなりぼんやりしていたみたいで、知らぬ間に中村先生は帰られたようだった。
「なあに? なにかあったの?」
母が意味ありげに顔を覗き込んできて、肩を揺らす。
お話を受けた時に母は近くにいなかったけれど、母にはバレているのかもしれない。
やっぱり母はすごい。
小さな変化も見逃さず、隠し事が成功した試しがない。
それに、結婚となれば母を巻き込む。
聞いていなかったとは言え、話さないわけにはいかない。