新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 結愛さんを送り出すと、小椋さんは私をも送り出そうともう一つタクシーを呼んでいた。

「五十嵐先生は病人に付き添いましたと伝えておきますので、お帰りください。奥様との仲直りをお願いしますね」

 私の妻が、その病人だと知ったら小椋さんは驚くだろうな。
 そう思いつつ、彼女の気遣いに甘んじてタクシーに乗り込む。

 マンションまでと運転手に告げ、進んだ後に訂正をした。

「やはり、中村医院に向かってもらえますか」

 実家の方へ行ったとしても、病院には久しく来ていない。
 私の顔を知る看護師に見つからないように注意しながら「栗原結愛の付き添いです」と受付で告げ、待合室に座る。

「栗原さんの付き添いの方……。まあ、省吾さん」

 ベテランの辻本さんに声をかけられ、会釈をする。
 見つからずに済ませよう、という方が無理なのだ。


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