新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 指定された喫茶店に赴く。
 隠れ家のようなその場所は、人目につきにくいお店だった。

 見渡せば全貌が分かる店内に、その人を見つけて歩み寄った。

「お時間をいただいて、すみません」

「いいえ。私の方こそ、すぐに答えられなくて悪かったね」

 にっこりと微笑む彼の、正面に座る。

「省吾となにかありましたか」

 彼からの質問に肩を揺らす。
 さすが、中村先生だ。
 なにもかもお見通しのようだ。

 昨日、中村医院で診察を受けた際に、今まで疑問に感じていた思いを聞かずにはいられなくなった。
 看護師の方が席を外された隙を見て、質問をした。

「どうして省吾さんに、私との結婚を勧めたのですか」

 少しだけ驚いたように見えたけれど、中村先生は表情を変えずに告げた。

「簡単にお話できる内容ではありませんので、明日にでも、もう一度連絡ください」

「でも……」

 食い下がろうとしたところで、看護師の方が戻られて、それ以上は聞けなかった。
 診察中に聞く話じゃない。

 ご自宅の電話番号は結婚をする際に何度かお電話をしたので、知っていた。
 そして、会う約束を取り付けたのだ。


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