新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「省吾さんは全て自分のせいだって仰いますが、そのキスって私から、じゃないですか?」
伺うように質問する彼女は、その事実が恥ずかしいようだ。
「覚えて、いたんですね」
結愛さんは両手で顔を覆う。
「やっぱり。曖昧な記憶なので、ハッキリとは覚えていませんが、その頃の私はおしゃまでしたから」
「そうですね。とても小学生とは思えない雰囲気がありましたよ」
当時を思い出すと、和やかな気持ちになる。
けれど、同時に罪の意識に苛まれる。
彼女は詳細まで、覚えていないのだろう。
当時の私を庇うような発言をする。
「私が勝手にキスをしたのですから、省吾さんは私に文句を言ってもいいくらいですよ。それなのに、自分が全面的に悪いみたいに言わなくても」
私を思いやる意見は有り難くはあるものの、真相は話さなければならない。
「キスをしてきたのは、結愛さんでしたよ。けれど……」
「けれど?」
真実を告げる緊張から、言葉に詰まる。
真っ直ぐに見つめている視線から逃れるように、顔を背けて告げた。