新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
それから彼女は自分の中で噛み砕いた内容を、ゆっくりと私に告げた。
「分かりました。高校二年生の省吾さんは、小学二年生に恋をしたんですね。子どもに恋愛感情を抱きそうになった自分に気づき、ショックを受けて避けた、と」
グッと言葉を喉に詰まらせて、それらをどうにか外に押し出す。
「そうかもしれない。しかし年齢的には犯罪です。だから私には、君を幸せにする資格はない」
「ちょっと待ってください。話が飛躍しています! じゃ、どうして今になって会ったりしたんです?」
彼女は服だけじゃなく、腕をも掴んで揺さぶった。
私は自分が情けなくなって、片手で顔を覆う。
「それは……。ごめん。酷い仕打ちをした張本人のくせに、まさか君が話せなくなるほどのトラウマになっているとは、夢にも思わなかった」
「どの段階で気づいたんですか? その時の子だって」
「それは、会う前から。懐かしくなったから、会おうと思ったくらいです」
「そう、ですか」
また沈黙が流れ、私からは彼女がなにを思っているのか窺い知れない。
呆れているのか、怒っているのか、軽蔑しているのか。