新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「もう少しだけ。もう二度と触れられない覚悟でした。だから」
切なくなるような台詞に、私は呼応して彼に訴える。
「これで最後みたいに言わないで。お願いです。私も、省吾さんに触れたい」
息を飲んだ彼は、力なく私の肩に頭を預けた。
さらさらと流れる髪がくすぐったい。
「どうも私は結愛さんには、余裕がないらしい。昨日は結愛さんの方が不安な気持ちになりましたよね」
捕まえられていた手が緩み、私は彼の腕の中で彼の方へ向き直る。
ほとんど脱げかけているシャツを羽織る、半裸な省吾さんに目がチカチカした。
「ほら。ここに確かにいると、好きなだけ確認してください」
胸を反らし、大袈裟に両腕を私の方へ差し出す省吾さんが憎らしい。
抱きしめられ、添い寝する状況には慣れてきたものの、彼の裸を見るのは初めてだ。
そういう私自身も彼に触れられ、着崩れたパジャマがおざなりに体に被っているだけ。
繕ってみても、今さら遅い。