新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

愛し合いましょう 省吾side

 こっくり、こっくり、舟を漕ぐ彼女に目を細める。

 こんな小さな体に、私は何度も求め、応じさせた。

 世間知らずの彼女は、私への気遣いが間違っているのに、至極真剣に訴える。
 その姿がかわいらしくて、余計に抑えられなかった。

「ピザは諦めて寝ましょうか」

 彼女の手からピザを受け取り、箱の中にしまう。

 彼女の体を抱えるように支え、ベッドへいざなった。

「キス」

「ん?」

「おやすみのキス」

「ああ」

 寝ぼけた彼女の催促は、私の胸をつかんで離さない。
 体を重ねれば重ねるほど、彼女に溺れて行く自分が怖くなる。

 もう失いたくない。
 そう思うと、目を閉じるのが恐ろしくなる。

 きっと今眠ったら、緊迫した病院の夢を見る。

 何度も愛し合った体のだるさを感じ、幸せよりも恐怖を思い描く自分に嫌気がさした。

< 203 / 229 >

この作品をシェア

pagetop