新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

「眠らなかった、のですか」

 声を聞いて、読んでいた本から目を離す。

「いえ」

 言葉を濁すと、鋭い指摘を受ける。

「目が疲れて窪んでいます。明日は出勤ではないですか。このままでは倒れてしまいます」

「平気です。当初、重たい話をするつもりで結愛さんに話を持ちかけましたから、土日ともに休みの日を狙いました」

「えっと、今日は」

「話し始めたのが金曜の夜ですから、まだ土曜の夜です」

「そうですか」

 安堵したような彼女は、私の手に自分の手を重ねた。

「それでも、寝たほうが。そういえば、書斎ではどのように眠っていたのですか」

 突然の追求に口ごもる。

「どのように」

「ベッドが見当たらなくて、ショックを受けました。すみません。勝手に入ってはいけない部屋でしたよね。きっと」

 寂しそうに言う彼女に、慌てて訂正する。


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