新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
幸せのかたち 省吾side

 弟の謙吾との話し合いを済ませ、今日は父に報告へ行く。

 話し合いというよりも、謙吾のいいようにからかわれたようで癪だが、久しぶりに兄弟らしい会話をした気がする。

 父の話に、病院の今後。
 避けて通ってきた話に、今向き合っている。

 私はニコニコした顔で隣に寄り添っている、結愛さんに視線を移す。

 全て彼女のお陰だ。

 上質な黒のレザーソファに、父と向かい合って座る。
 今日は隣に結愛さんがいる。

 それでも些か緊張して、口を開こうとした出鼻を挫かれる。

「よく来てくれたね。話は謙吾から聞いているよ。結愛さん、ありがとね」

 緊張はなんだったのかと、肩透かしをくらう。
 謙吾のやつ……。

 そう思いつつ、肩の荷が下りた気がした。

 父は温和な顔を結愛さんに向ける。
 彼女は「私はなにも」と謙遜をしている。


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