新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「あら。でもそこ、最近でしょ。代替わりしたの。兄弟でやられていたのを、お互いの息子さんに譲って、今は従兄弟が医師だって」
「だから、その従兄弟医師の話」
「そうなの。その前の代にやられていた先生が、これまたイケメン医師だったって」
「それはそうよ。イケメンの親はイケメンに決まっているもの」
「私は前の事務のおばあちゃんも好きだったなあ。かわいらしくて、いつもにこにこしてて」
「前の副医院長と、おしどり夫婦で有名なんでしょ?」
「ええ。奥様を愛するあまり、無愛想だった副医院長も日に日に柔らかくなられたっていう逸話が」
楽しそうに盛り上がる主婦の会話をこれ以上、聞いていられなくて退散する。
噂話だけれど、遠からず、かな。
フフッと笑いながら、私は結愛さんに歩み寄って「琥太郎は?」と声をかける。
「琥太郎ちゃんなら……」
「おじいちゃーん!」
ジャングルジムの上の方で手を振る琥太郎に応え、にこやかに手を振り返す。
そして、私の隣で微笑んでいる結愛さんの手に、私は手を重ねた。
「まあ」
少し照れたように、はにかむ結愛さんは目尻にいっぱいの笑い皺がある。
手を繋ぎ、寄り添って立つ私と結愛さんを見た若い子の声が聞こえる。
「いいなあ。ああいう仲睦まじい、おじいちゃん、おばあちゃんになりたい」
私は結愛さんと見つめ合って、微笑んだ。
FIN.


