新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 シャワーを浴びて戻ると案の定、彼女は眠っていた。
 スースーと、規則正しい寝息を立てる彼女を視界に捉え安堵する。

 彼女は知恵熱と言ったけれど『ストレス性高体温症』が正しい病名だ。

 別名『心因性発熱』
 ストレスの原因を取り除くことが大切。

 分かってはいる。
 トラウマになっている彼女から、ストレスの原因を取り除くべきだ。

 だから本来、私は彼女の側にいない方がいい。

 けれど、だからこそ、彼女のトラウマの元凶の私が彼女のトラウマをどうにかしてあげたい。
 彼女の『仲睦まじい夫婦になりたい』と言った夢を叶えてあげたい。

 そして、その夫ができれば自分であってほしい。

 所詮は、期間限定の夫婦なのかもしれない。
 そうであったとしても、その期間だけでも仲睦まじくいられたら。

「おやすみ」

 返事のない彼女に囁き、おでこにキスを落とす。
 それから、少しだけ離れた場所に背を向けて、体を横たわらせた。

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