新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
優しい出汁の味で、体の芯から温まる。
「結愛さんみたいな、うどんですね」
「え……。簡単で、という意味ですか? 褒められてます?」
眉を寄せ、不満顔の彼女に言葉を補足する。
「いえ。優しくて温かい」
本音をこぼすと、結愛さんは照れた様子で両手を顔の前で振る。
「褒め過ぎです。私、ここ数日で悟りました」
「なにをです?」
「省吾さんの発言は、言葉半分で捉えて丁度いいです」
うんうん、と一人納得する彼女に不平を訴える。
「嫌だな。全て本心ですよ」
「はいはい」
全く聞き入れてくれない彼女に、意地悪を言いたくなる。
「嘘をつくのが下手なので、困っているくらいです。明日からアオシマコーポレーションへ本格的に産業医として伺いますが、うっかり「私の妻は結愛さんです」と口を滑らせるかもしれません」
「そ、それは困ります!」
「結婚、したのに?」
「だって……」
困らせるつもりで言いはしたけれど、本当に困っている姿を見ると胸の奥でなにかが燻る。