新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
面談が一区切りついたところで、小椋さんがため息混じりに告げる。
「面談が必要なのは、五十嵐先生ですね」
「ハハ。私は誰と面談すればいいでしょうね」
「カウンセラーでしょうか。奥様と喧嘩でもされています?」
鋭い。
女性の勘とやらに舌を巻く。
「大丈夫です。業務に差し支えないように心得ていますので」
大丈夫。その単語だけで胸を締め付ける。
彼女が三度トントントンと優しく手を置く感触を、もうずいぶんと感じていない。