腹黒王子の初恋
「うわ~おいしそう!」

 テーブルの上に豚の生姜焼きとサラダとみそ汁が並ぶ。だ、大丈夫かな。昨日買い物行ってあってよかった。

「あ、あ、あの。口に合うといいけど…」
「嬉しいです。優芽ちゃんが作った生姜焼き食べたかったんです。」

 ゆうきゅんがにこにこしながら言う。

「う。こっ、こんなんでよけ、よければ…たくさん、たべ、たべてくだ、さいっ!」
「ぷっ。緊張しすぎですよ。」

 そりゃあ、無理な話ですよ。ゆうきゅんが私の家にいるんですから!

「あ。そいえばお酒あります?」
「うんうん!あります!ごめんなさい。気づかなくって」
「ふふっ。さっきから微妙に敬語に戻ってますよ。お酒俺じゃなくて優芽ちゃんね。」
「え?私?」

 きょとんと見つめる。

「俺は車だから飲めないし。あはは」
「あ。車。そうだよね。文月くん飲めないのに私だけ飲めないよ。」

 もう。いっぱいいっぱい過ぎて頭が回らないよ。

「飲んだら歯止め聞かなくなるかもだしね。」
「…?」
「とにかく。優芽ちゃんに飲んでほしいの。お酒飲んだらちょっとはリラックスするかもです。」
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