クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?
side ジョシュア




(夢じゃないんだろうな?)

俺は、馬車の窓からそっと外を眺めた。
月明りに照らされたモルガーナ城が、どんどん小さくなっていく。
でも、それでも、まだ今の状況が信じられない気分だった。
追手が来るのではないかと、ずっとひやひやしていた。



「それじゃあ、旦那…あっしはこれで…」

「あ…どうもありがとう。」



俺は、モルガーナの港近くの人気のない場所で馬車を降ろされた。



(さて、これからどうするか…だよな。)



俺は、空き地のような場所をみつけ、大きな木の根元に腰を降ろした。
ファーリンド行きの船が出航するまでにはあと数日ある。
その間、どこに身を隠すか…だ。



それにしても、今日は嘘みたいに簡単に出ることが出来た。
それが、まるで罠のようにも感じられてどこか怖いくらいだ。



兵士という兵士は、今日はとにかく王と王妃のために狩りだされ、俺のところにいた数名の兵士さえいなくなった。
アンジェラに言われた通り、ライアンの飲むお茶に薬を入れたら、奴はすっかり眠りこけて…



その後もアンジェラの指示通りに動いた。
今日は、あちこちから領主たちが来ている。
俺は、招待客のふりをして、指定された馬車に乗り、そして、まんまと城の外へ出ることが出来た。
どうやって手に入れたのかわからないが、アンジェラからファーリンド行きの船券と路銀を渡された。



「船が出るまでの数日間、なんとかやりすごしてちょうだい。
ライアンは、すぐには王様に報告しないはずよ。
婚礼後はしばらく王様は忙しいし、そんな時に失態をしたとバレたら、命が危ういでしょうから。
でも、とにかくみつからないようにしてね。」

「ありがとう、アンジェラ……」


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