クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国（パラダイス）～これってもしやシンデレラストーリー！？

徒歩の旅だから、そう遠くはないと思っていた私の推測は外れていた。
デニスさんの宿を出てからも、祈りの塔へはなかなか着かず…
いくつもの町を通り過ぎた。
これは、どう考えても馬車で行く旅だよ。
そんな愚痴が出そうになるのを堪えて、私は懸命に歩いた。



確かに、キリルは綺麗な国だ。
自然の美しさに目を奪われる。
この世界にスマホやSNSがあったら、画像上げまくりだね。



歩いている時…食事の時…寝る前のひと時…
私はアルバートさんといろいろな話をした。
いや、私は単に聞き役。
私にだって話したいことはあるけれど、記憶を失ってることになってるし、違う世界から来てることも言えないから、話せない。



でも、聞いてるだけでもとても楽しかった。
今まで知らなかったアルバートさんのことがたくさん聞けた。
子供の頃の妹さんとのことや、オスカーさんとの絆についてとか、まさかと思うような失敗談やら意外な話もいろいろ聞けて、アルバートさんのことを知れば知る程、私は、アルバートさんに惹かれていくのを感じた。



惹かれるっていうのは、多分、恋愛感情ではなく、人として…
ちょっと厚かましいことを言わせてもらうなら、友人としての気持ちだと思う。
だって、アルバートさんは王子様。
私なんかの手が届く人じゃない。
そのくらいのことは、私にだってわかってる。



それだけじゃない。
私には大きな秘密があるんだから…
それがバレたら、私はアルバートさんに……