※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
「こっ、今度は騎士気取りかよ。笑わせんな……!」
言葉や態度ではもう太刀打ちできないと悟った大瀧はユキを突き飛ばすと、黒板についているチョーク入れを手に取った。
その中には、チョークだけではなく、大量のチョークの粉が入っている。
そしてそれを勢いよくユキに向かって振りかぶる。
宙を舞う白いチョークの粉は、ばさっとユキの頭の上へ降り注いだ。
アルミ製のチョーク入れが鈍い音を立ててユキの頭に当たる。
その残酷な光景は、まるで映画のワンシーンのような、スローモーションのように見えた。
幸か不幸かチョークの粉はほとんど入っていなくて、ユキの髪のところどころを白くする程度ではあったけれど、ユキはチョークの粉を正面からもろに吸い込んでしまったらしい。
「こほ、ごほっ……」
吐血するのではないかと思うほど絡み合った苦しそうな咳をすると、がくっと膝が折れ、壊れた人形のように膝から崩れ落ちた。
木製の床に崩れ落ち動かなくなったユキを、大瀧は満足したようなしたり顔で見下ろす。
そこに罪の意識は一切ない。