※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


「ははっ、粉だらけがお似合いだな」


その時。心が、パリンと砕け散った音が、たしかに聞こえた。


目の前がぐわんぐわんと揺れる。

体の芯が熱くなり、怒りで唇と指先が震える。


「なに……なに、してんのよ……」


そしてユキの前に立ち、自分よりもひとまわり近く大きい大瀧を真っ向から睨む。


「私の大切な人にこれ以上手を出すなら、私が許さない……っ!」


怒りで頭にのぼる血が沸騰しているせいか、恐怖のせいか、自分の声がこだまして聞こえる。


痛いほどの静寂と無数の視線に包み込まれる。


すると呆気にとられるようにしていた大瀧が、ふっと鼻で嗤った。


「おいおい花宮、エンプロイド庇うなんて、頭おかしくなったか?」

「少なくともあんたよりは……あんたたちよりは正常だわ。私たちは全員が差別っていういじめの加害者なんだから」


私は大瀧に、そしてこの光景を見てもなお誰ひとり動かない傍観者たちに向かって声を張りあげた。

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