※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
「エンプロイドと人間、なにが違うの? 同じ心を持って同じ教室で生活をしてるのに。……私はずっと最低だった。ずっとカーストに縛られて、自分さえ安全であればいいって思ってた。でも平等であるはずの私たちに順序をつける奴が一番汚くって醜いってことを、ユキが教えてくれた。私はもう誰かを傷つける生き方なんてしない!」
ずっと、自分が傷つくことが怖くて、足が竦んでなにもできなくなっていた。
でも今は違う。
自分が傷つくよりもっと、大切な人が傷つけられているのを見ているだけの方がつらい。
私は、自分が好きだと思える自分でいたい。自分が思う”正しさ”を貫きたい。
私はユキを振り返り、手を差し伸べた。
「行こう」
ユキの腕を掴んで立たせると、その手を引っ張って教室を出る。
人混みが、まるで汚いものが通るかのように、自然と左右に分かれていく。
途中、舞香たちの冷め切った視線を浴びていることに気づいたけど、そんなのもう気にしていられなかった。
歩きながら、朦朧としたような意識の中、ユキが一言「君が汚れちゃう」と呟いた。
「汚れたっていい」
それだけ答えて、私はその意思の揺るがなさを伝えるように、ユキの手を掴む手に力を込めた。
――あんたのためなら、汚れたって構わないよ。