※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


「そんなことが……」

「香山先生、どうしてこんなに苦しそうなんですか?」


すると少し逡巡するように視線を伏せ、それから唐突に、ユキの頬に添えていた私の右手をとった。

そして、ユキの胸に当てさせる。


「え……?」


そう呟いた声が、どこかでぷつん途切れた。

――ユキの心臓の音が、ぎしぎしと不穏な音をたてて軋んでいたから。


「ユキの心臓は、いつ止まるか分からない」


落ち着き払った声で頭を殴ってくるその言葉の意味を、頭の中で咀嚼するのに数秒かかり、じわじわ理解して行くのに合わせて遅効性の毒のように唇が震える。


「え……? なに、言って……」

「あまり心臓に負荷をかけてはいけないって言っていたけれど、体内に粉が入って不具合を起こしたらしい」


――違う。違う。

香山先生は勘違いしているんだ、そうでしょう? だって、


「エンプロイドの故障は、直る、はず」


うわごとのように平仮名をなぞるように発すれば、香山先生がゆるゆると首を横に振り、形のいい薄い唇をゆっくり動かした。


「ユキは元々、人間だ。けれど自ら望んでエンプロイドになった」

「え……?」

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