※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。





「香山先生!」


学校に着くなり、ユキがグラウンドで救護班としてスタンバイしていた保険医の香山先生の名を呼んだ。


幸いにも先頭集団であろう舞香たちはまだゴールしておらず、体育科の教師と香山先生しかグラウンドにはいない。


ユキに名前を呼ばれた香山先生が、こちらに駆け寄ってくる気配があった。


「どうした、体調不良か」

「気分が悪いらしくて」


視界が香山先生の白衣の眩しい白に染まる。

風に乗って、薬のつんとしたほのかな匂いが鼻孔をくすぐった。


「大丈夫か、花宮」


際限のない吐き気から朦朧とした意識の中で「はい」と答えた私は、香山先生が私の名字を知っていたことにぼんやりと驚いた。


一度校舎内で無くしたスマホを拾ってもらったことがあったけれど、接触した機会はその時くらいで、一方的にイケメンだなって見てる存在だったのに。

無口なイメージもあったけれど、実は生徒思いな先生なのかもしれない。

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