僕の庭
僕たちは、母の遠い親戚がいるという田舎に移り住んだ。

小さな家に、小さな庭。
僕は荒れた野原を開墾し、畑をつくった。
石や岩、深い木の根がはびこる土地に、朝から晩まで一心に農具をふるった。
汗だくになり、鍬を握る手に血が滲む。



しかし辛くはなかった。

何も考えずにいられるのは、楽だった。


目先に溢れている仕事に没頭するのは、逃げだったのかもしれないが、それは僕の心を少しずつ落ち着かせていた。


がむしゃらにやり過ごす毎日で、僕は僕をゆっくりと取り戻していたのだ。
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