僕の庭
父や兄たちのいなくなった家は、それ全てが彼らの墓所のようだった。
柱一本、畳一枚に思い出が張り付いていて、僕たち母子を苦しめた。

母は父と兄の位牌を抱いて、抜け殻のようになっていた。
僕はそんな母をなすすべもなく、ただ眺めていた。



このままではダメになってしまう。
このままここにいてはいけない。


光の差さない暗い部屋で幾日過ごしただろうか。
急に不安が襲った。
僕たちは家族との思い出に死んでしまう。





ここを出て行こう。
どこか、どこか別のところ。

田舎へいこう。
畑を耕して、光を浴びて。
僕たちは、そこで一から暮らしていくんだ。


母は僕の言葉を理解していたのかいないのか、ただ力なく頷いた。


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