僕の庭
それから、次の日もその次の日も、佳穂はやって来た。


桜の幹をなで。

もみじを見て。

びわの墓に参り。

そして黙って僕の横に座った。



数日経った日の事、いつものように横に静かに座った佳穂に言うともなく、びわの話をした。

個展を開いた画廊のオーナーから貰った事。
トイレのしつけに手こずった事。
野良猫と喧嘩して、顔を血まみれにして帰ってきた事。
どこからか、焼いたいわしを咥えて帰ってきた事。
初めて膝に乗ってきた時の事。

佳穂は黙って聞いてくれた。
たまに笑ってもくれた。

僕も、つられて少し笑った。


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