キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「唯………。
唯ちゃん………。
そろそろ降りる用意するから…………起きて。」

あれ程『眠くない』なんて意地を張ったのに。

気づくと後二つで到着になっていた。

「よく寝てたね。」

預けたままの頭を撫でられて、起こされた。

「ほらっ、鞄を忘れないようにね。
ペットボトルは……
飲まないなら捨てるよ。
あっ、ハンカチが落ちてる。」

寝る前に

『子供扱いしないで』なんて、生意気な事を言って拗ねたけど。

これじゃ、まさに子供だよね。

奥さんがする行動を、全部悠君がしてくれてる…………。

寝起きのぼぅ~とした頭のまま、手を引かれてホームに降り立つと。

「ヨシッ、行こう。」

ってそのまま手を繋いでズンズン進む。

いつも思う事だけど………

悠君って本当に凄い。

唯と出逢って2年半、この長崎の地に来たのは去年の職員旅行の時だけのはず。

もしも園長先生の仕事で来てたとしても

全てを頭に入れる程居たわけじゃないもん。

それなのに………

「ほら、こっち。
迷子になるといけないから、手を離さないで。」と言って

さっさとホームを抜けて改札を出てしまった。

「ハウステンボスはあっちだから…………。
着いたら先ずホテルに向かうよ。
荷物を置いてから、ゆっくり遊ぼう。」って

添乗員さんのようにスムーズに行動するの。

これじゃ…………子供扱いで当たり前だよね。

唯と二人分の荷物を持って

「唯、手はここ。
ホントにはぐれるよ。」と

肘を掴ませて歩き始めたの。
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