幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「連絡を取っていなかったってコトは母親が一年前に乳癌で亡くなったコトは知らないんだね・・・」

「えっ!?お母さん、亡くなったんですか?」

「継父さんは最後まで、母親が君の身を心配していると言っていた」

「あんなに元気だった母が・・・」

突然知らされた母の死に、心が追い付かなかった。

「君が家を出て、五年過ぎてるんだ・・・お母さんだって年取るし、具合だって悪くなるさ」

「私・・・親の死ぬ目に会えなかった・・・」

「君のお母さんは亡くなられているし、君の戸籍を作るには少し時間を要しそうだ」

信号待ちで、車が停まると何とも複雑な心境を抱く私に彼は頭を優しくポンポンと叩いて慰めてくれた。

「次郎さん・・・」

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