冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
言葉を切って、安西部長は両肘をテーブルにつくと顔の前で組んだ。そして私をじっとまっすぐに見据えてくると、ドキンと胸が跳ねた。

「そんな仕事のやり方じゃ、一方通行の自分の考えしか生まれないって……最近になってそう思うようになった」

「そうですよ、私にだって安西メソッドが染みついてるんです。この視察もふたりで力を合わせれば、きっといい報告ができますよ」

にこりと笑って見せると、安西部長も目を細めて小さく微笑んだ。

「なんか、お前といると色々自分なりに考えてきたことが馬鹿みたいに思えるな」

「え?」

「正直で素直で、擦れてなくて……昔はそういう人間といると、自分の醜さを思い知らされるみたいで避けていた」

安西部長は何事にも物怖じしないし、堂々としていてあまり小さなことは気にしないタイプだと思っていた。彼の口から本当の胸の内を聞かされて、少し彼のことを誤解していた気がした。

もっと、本当の安西部長のこと……知りたいな。

「そういえば、明日の夜、花火大会に行きたいって言ってたな」

「え? ええ」

いきなり花火大会のことを切り出されてハッとなる。
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