復讐寮~罰ゲーム~
その通りだ。


昔に起こった出来事は悲惨だったかもしれない。


あたしだって、可哀想だと感じた。


でも、カヤ先輩には関係ない。


「そうね、あたしが欲しいのは報酬だけ」


カヤ先輩はそう言って、ニタリと笑った。


さっきまで混乱していた様子だったのに、すっかり自分を取り戻したように見えた。


「その報酬をくれる今の寮母さんはね……前の寮母さんの、お姉さんなの」


「え……?」


「ここまで詳しく教えてくれたのも、今の寮母さんよ」


安全な寮生活を過ごすため、生徒を薬物中毒にして従わせる。


それは普通の感覚ではないと思っていたけれど、もしかしたら、生徒への怨みも籠っているのかもしれない。


「今の寮母さんに変わってから、生徒はみんないい子になった。あなたたちも、今からでも遅くないのよ? これから先も罰を受けるなんて、嫌でしょう?」


カヤ先輩の声は柔らかく、あたしたちを包み込むようだ。


カヤ先輩の方へ転がっていけば、楽になれることは確かかもしれない。


「薬漬けになるなんて、あたしは嫌」
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