冷徹部長の溺愛の餌食になりました
「俺と莉紗、いとこなんだよ」
キョトンとする私に、彼はハッキリと言い切った。
いとこ?久我さんと、小宮山さんが?
あぁ、だからあんなに気にして、仲も良くて、下の名前で呼んでいて……。
もしかして先日久我さんが『実は』と言いかけたのも、このこと!?
胸に抱えていたモヤモヤが、ひとつひとつ解消されていく。
「あとイベントの時に俺と莉紗が話してたことはだな、あいつが『愛しの勇者ちゃんもどこかで見てくれてるといいね』なんてからかうから……つい顔も緩んだというか」
愛しの勇者ちゃんって……つまり、私?
じゃああの時久我さんが優しく笑っていたのは、私の話をしていたから?
そんな。こんなになにもかも都合のいいことがあっていいのかな。
夢みたい、信じられない。
だけど……信じたい。
その思いをぶつけるように、私は思わず、プールの中にいる久我さんにぎゅっと抱きつく。
「うわっ」
久我さんはそれを受け止めてくれるけれど、勢いそのまま、私もプールに落ちて互いにずぶ濡れとなった。
「あーあ……ふたり揃ってずぶ濡れだな」
「ごめんなさい。でも、久我さんのこと抱きしめたくて、どうしようもなくて」
水の冷たさを肌に感じながら、しがみつくように久我さんを抱きしめる。
そんな私を見て、彼はおかしそうに笑った。
「まぁ、霧崎らしいといえばらしいな」
そして、濡れて張り付いた前髪をそっとよけると、愛しそうに目を細めて微笑みをみせた。
「俺はずっと、頑張り屋でまっすぐで、そんな霧崎に惹かれてた。涙を見れば力になってやりたいと思ったし、いつでも笑っていてほしいって思ってた。霧崎が笑ってくれるだけで、心が明るくなった」
「久我、さん……」
「責任、なんて口実を作ってでもそばにいたかった。お前に触れていたかったんだ。でもごめんな、最初からちゃんと言えばよかった」
久我さんは囁いて、私を抱きしめる腕にぐっと力を込める。