敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
ーモーツァルト 〈きらきら星の変奏曲〉ー


この曲を初めて耳にしたのは幼稚園の頃。
誰もが知っている〝きらきら星〟が、次々と形を変えて現れることに、幼い私はすごく感動した。


「うわぁ。お姉ちゃん上手だね!!みいちゃんもお姉ちゃんみたいに弾けるようになりたい!!
あっ、先生が呼んでる!
お姉ちゃん、またねー」

大きく手を振りながら、みいちゃんは練習室へ入っていた。


なんか、すごく楽しかった。






それから私は、少しづつピアノを弾くようになった。
本来の感覚を取り戻すのは容易ではなかったものの、落ちてしまった腕は全く気にならなかった。


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