敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
緊張して、思わず背筋を伸ばした。


「まず、昨日話そうと思ってたことだけど、華、君はやどり木というバーでピアノを弾いているピアニストで間違いないか?」

……もう隠しきれない。


「……はい。間違いありません」

「良かった」

そう言うと、恭介さんは安堵したように息を吐き出した。

「どうして私だとわかったんですか?私、普段とかなり雰囲気が違ったと思いますが……」

「正直、最初はわからなかった。
でも、先日よろけた華を抱きとめた時にしてきた香水の香りが、以前社長室で抱きとめた神崎さんのものと同じだった。
もしかしてと思いながら、会社での姿を思い起こすと、優れた資料を社長から褒められたというのに、どこか自信なさげだった姿と、堂々と素晴らしい演奏をしたのに、去り際に見せた自信なさげな姿が重なったんだ」

そう言うと、恭介さんは熱い視線を向けてきた。


< 74 / 126 >

この作品をシェア

pagetop