敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「私は……姉から夢を奪ってしまったんです」





ひとしきり泣いて、落ち着きを取り戻した時、自然と話してしまおうという気になった。



「…………あの時、怪我をしたのが私だったらと何度も思いました。
それで、私もピアノから離れたんですが、羽山先生が私をすくい上げてくれました」


一度話し出すと、まるで懺悔するかのように止まらなくなった。
恭介さんは口を挟むことなく、ただじっと私の話を聴いてくれた。


「自分にピアノを弾く資格なんてないのに、どうしてもピアノを捨てきれないんです」


俯く私の背中を、再び恭介さんは撫でてくれた。
その手の温かさに、少しだけほっとしていた、


「華は……自分で自分を責め続けてきたんだね。お姉さんのことも、自分がピアノを弾き続けていることも」

「はい」

「苦しかったね。華の、心に訴えかける演奏の裏にはそんなことがあったんだね」

そう言って、もう一度優しく抱きしめてくれた。
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