敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「華、華はピアノから離れる必要はない。
それは、素晴らしい演奏ができるからとかじゃなくて、どうあがいたってピアノから離れられないんでしょ?
だったら離れる必要はない。
苦しくても、そういったことを全部背負って弾き続ける覚悟をするんだよ」

驚いて、恭介さんの顔を見つめた。

「覚悟?」

「そう。
華が囚われてる昔の出来事は、たとえお姉さん自身が許しても、華自身が自分を許せないんでしょ。それなら、全部を背負って弾き続ける覚悟をするんだよ。
でも、それはきっとすごく辛いことだ。
だから、辛い時は僕が抱きしめてあげる。
逃げたくなったら僕が逃げ道を作って助けてあげる。
僕は華の味方だ。
華は心のままに弾き続ければいい」


恭介さんの言葉に、私の灰色だった心がなんとも言えない気持ちで満たされていった。


「華は一人じゃない。
僕は華の味方だ。
僕だけじゃなくて、羽山先生だってそうだ。
華、味方にはもっと甘えていいんだよ」
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