敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
夢中になって弾いていると、最後の音が響くと同時に拍手が響いた。

ハッとして見渡すと、いつの間にか恭介さんが帰宅していた。


「おかえりなさい。すみません、気づかなくて」

「素晴らしい演奏だった」

心なしか、恭介さんの瞳が潤んでいた。

「恭介さん?」

「ごめん。昨日、華の話を聞いたのもあるからかなあ。なんか、なんとも言えない気持ちになって。
君のそのピアノの音色には、想像できないほどの深い想いが溢れているんだろうね。
華のピアノを聴けて、本当に良かった。
華、ピアノを続けててくれてありがとう。
華は口数が少ない分、ピアノの音が華の気持ちを語っているようだ」

そう言って、ふんわりと私を抱きしめた。

「ただいま、華」

「恭介さん……おかえりなさい」



それから2人で一緒に夕飯を食べた。
私の作る平凡なご飯でも、「美味しい」って何度も言って食べてくれた。


そして、そろそろ寝ようとなると、私をそっと抱きしめて、

「華、僕は君の味方だから安心して。また明日。おやすみ」

と囁いた。
すごく気恥ずかしいけど……なんだか安心した。
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