敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
〝華の味方〟


思えば姉のことがあった頃、当事者の姉ですら私に対して一言も恨み言を言わなかった。
それどころか、〝負い目に思うことはない〟と言われた。


姉も父も母も、誰一人として私を攻めなかった。


私にはそれが耐えられないことだった。
だから、自分だけは自分を責め続けてきた。

私はひとりぼっちだった。


羽山先生は、そんな私がもう一度ピアノに向き合えるように救ってくれた。

そして、恭介さんは苦しい過去を背負う覚悟をするように言う。
それを一緒に背負ってくれるとまで。


私、恭介さんにあまえてもいいのかなあ……
恭介さんと一緒なら、過去にもピアノにも、しっかり向き合える気がする。



木曜日。

ーモーツァルト 〈きらきら星変奏曲〉ー

羽山先生のスタジオを訪れるようになった時、小さな女の子に促されて弾いた曲。
私は今、特別なあの日を思い出していた。
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