Mein Schatz
「…………私の気持ちは、愛ではないのですか?」

クラウディアが涙をこぼしながら訊ねる。

「聞いていたんだな」

エヴァンが言うと、クラウディアは無言で頷いた。

「私があなたに抱く想いは、してきたことは、全て無駄だったのですか?綺麗事だったのですか?」

ボロボロとクラウディアは涙を流す。クラウディアの涙を、エヴァンは初めて見た。

「私は子供を産むための道具ですか?子供を産んだら、私はこの広いお屋敷に置いていかれるのですか?」

クラウディアの体が震える。エヴァンは首を横に振った。

「……君は、子供を産むための道具じゃない」

エヴァンはクラウディアに、さっき渡された結婚指輪を見せる。

「私は、政略結婚でも相手といつか愛し合える日が来ればいいと思っていた。だから指輪に文字を掘ったんだ」

Mein Schatzーーー私の宝物。家族は、かけがけのない世界でたった一つの宝物なのだから。
< 20 / 24 >

この作品をシェア

pagetop