real face
「さっきだよ。まひろの自宅の前で帰りを待っていたら、翔とまひろが2人で来て、公園でしばらく話をしてたんだけど。まるで俺に見せつけるかのようなキスをしやがったんだ」

ま、マジか……。
翔のヤツ、本音スイッチどころか、本気スイッチ入ったんだな。

「まひろに男がいるっていうのは、翔から聞いたんだ。まさか自分のことだったとはな。俺としたことが。アレは俺に対する宣戦布告だな」

「ふっ……。面白くなってきたな、修一」

「自分は関係ないってスタンスか?兄貴。傍観者にはさせないぜ」

「なんでだよ。俺、関係ないだろ!俺は傍観者でいいんだよ。勝手に巻き込むなよ」

「そうやって、余裕綽々でいると後で痛い目に遭うぜ。覚悟しとけよ兄貴」

なんか嫌な予感がする……。

「翔もどうやら本気みたいだな。アイツと争うのは本望じゃないけど、負けるわけにはいかない。でないと何のために俺は……」

ブーッ、ブーッ、ブーッ♪

「おい修一。お前の携帯鳴ってるぞ」

「なんだ、誰だよ。もしもし?あぁ、美生(みお)か。うん……。それは助かる、サンキュー。じゃまた明日な。お疲れ」

女、だったみたいだな。

「仕事か?プライベートか?」

「……ノーコメント」

都合悪いんだな、言わないってことは。
俺の予想では、仕事関係だから無下に出来ない女ってとこかな。
しかしやましいことがないなら、隠す必要ないだろうし。
訳ありってことも考えられるな。

確か『みお』って呼んでいたぞ。
万が一、切り札になる可能性もあるから、覚えておこう。

「なにニヤニヤしてるんだ兄貴。さて、腹へったし帰るよ」

「ああ、母さんによろしくな」

これからどうなるのか。
先ずは高見の見物といくか!



──翌日、昼休み。

シャ食で翔と2人でランチ中。

「課長、今夜時間取れませんか?」

ま、まさか、昨日のことか!?

「今夜は彼女とデートの予定だけど。なんかあったか?」
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