real face
なんかって。
あったに決まってるよな?
ココで言えるわけないよな、シャ食だし。

「遅い時間でも構いませんが。時間取れませんか?」

「食事して菜津美を送ってった後なら。でも何時になるか、わかんねえぞ?」

「いいですよ真夜中でも、明け方でも」

「俺が良くねえよ!」

「多分遅くまで会社にいますから。身体が空いたら連絡ください」

「あ、ああ分かった」

有無を言わさない威圧感があったな。
仕事中は普段と変わらないポーカーフェイス決めてたけど。
まひろはと言うとこちらもポーカーフェイスには違いないが、若干そわそわしてたな。



──23:30。

まだ会社に残っていた翔を車で拾って、俺の部屋に帰ってきた。

「すみませんわざわざ迎えに来てもらって」

「わざわざじゃねーよ。菜津美を送ってきて帰るついでだ、ついで。それより!お前、今日シャ食でやらかしてくれたな!?」

「……なにが?」

全く、なにが『なにが?』だ!

「菜津美から聞いたんだ。今日のシャ食での俺たちの会話をたまたま近くにいた経理部の女子が聞いてたらしくて、俺たちのこと誤解されてるらしいぞ?」

「誤解って、どのように?」

「翔が、俺に強引に関係を迫っているらしいと」

「は?」

「翔が俺に『今夜どうしても身体を空けておいてくれ』とか『夜中でも明け方でもいいから会いたい』とか、迫っていたと噂が」

「くだらない……」

「かなり切羽詰まった艶かしさを宿した目で、俺を口説いていたっていう話らしいぞ。俺は悪いがソッチの気はないから。……で、望み通り身体は空いたけど。今日はどうしたんだ」

「イチにぃ……俺、ハッキリと自覚してしまったんだ」

やっぱり、まひろのことか。
とりあえず話を聞いてやろう。

「自覚したって、何を?」

「俺、あの日のうちに堕ちてたらしい」

「は?」

「素顔の蘭さんに、堕ちた」

……………………マジか!?
今日も、本気スイッチ全開だな!
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