飛び降りて、一緒に死のっか。
「どうやって飛び降りたい?」
「最期くらい、楽しく死にたい。このひと幸せだったのかなって、錯覚されるくらい……。
知らないひとにくらい、愛されてたって……思われたい。
幻の愛でも、ほしいの――」
私から目を逸らした彼が、1歩前へと出る。段差に乗り上げ、あと数センチで真っ逆さまだ。
風が彼の髪をまたさらって……右斜め後ろにいる私からは、彼の表情はもっとわからなくなってしまった。
「幻じゃない愛、最期は受け取ってみる?」
「……え?」
「そうしたら、そのあと……手を繋いで、手を上にあげて、“せーの”で飛び降りよっか」
言い終わると同時に、こちらを振り返った彼は……ひどく頬を、震わせていた。
びゅうと、一段と強い風が吹く。
「それがいいね」
笑って、彼に歩み寄る。段差の分、身長差がもっと大きくなっていた。
私も、ゆっくりと段差に足を乗せる。